しゃなりの着物
連綿と受け継がれてきた染織文化には
忘れてはいけない日本人の美意識があります。
芸術の域にまで到達した究極の文化、染と織。
文化を纏う日本人の美意識を未来へ。
四季のある国に生まれた私たち日本人は、はるか昔から感性溢れる民族だったようです。自然が織りなすさまざまな色や形から発想を得て、美しいものや心地よいものを作り出す力を身につけていったのでしょう。結果として染や織という今なお進化を続ける技法で、美しくかつ機能性の高い衣装を創ってきました。ひとくちに染と織と言っても、地域によって技法は異なり、その土地ならではのスタイルが出来上がっています。例えば、大島紬は、絹糸にシャリンバイというバラ科の植物に含まれるタンニン酸色素と泥の中の鉄分を化学反応させ、独特な色を生み出しています。例えば、加賀友禅は、加賀五彩と呼ばれる色を基調に、美しい風景画を絹の上に描くスタイルの伝統美が生まれました。自然と土地と人々の思いが交差し、日本全国各地に特徴を持つ美しい衣装に昇華されました。
私たちKIMONOしゃなりは、こうした先人たちが築いた日本の染織文化の物語を次代に継承していく使命を強く持ちながら、着物を装うことの楽しさ、そして着物を装う人がより一層美しく、より気高く日々を過ごすお手伝いをしてまいります。
KIMONOしゃなり
店主 佐々木英典
人を美しくするだけでなく、
物語を奏でる着物という文化。
着物には、物語があります。人々は色や柄に意味を持たせ、装う人の幸せを願ったり、健やかな成長を祈りました。例えば麻の葉は、成長が早くまっすぐ上に伸びていく性質があるため、七五三の衣装の柄や地模様に多用されました。衣装にそうした意味や物語を宿らせるという文化は、世界でも稀なものです。沖縄の八重山ミンサーには、女性から男性へ婚姻のしるしとして贈るという習慣がありました。五と四を象った絣織には「いつ(五)の世(四)までも、想い続けてほしい」という願いが込められていたといいます。着物には、こうした人々の願いや想いが刻まれています。おしゃれなファッションであるという機能美を持つと同時に、気持ちを伝え、共有する人々にとっての大切な絆でもあります。私たちがお客様に着物をご提示するとき、一見するとわからない、着物の物語をお届けできたら、それほど幸せなことはないと思っています。
作り手と装う人をつなげたい。
それが私たちの使命です。
しかしながら、時代が変化するスピードはどんどん早くなっていき、いつのまにか効率や最適化が最優先の世の中になってきました。一反の反物を長い年月をかけて織り上げるよりも、すぐにできあがる速さを求められるのが今という時代です。しかし、染織文化の多くは手間がかかり、人がじっくりゆっくりと丁寧に進めていかなければ仕上げることができないものです。昔ながらの方法で、今も妥協することなく、自然と対話しながらものづくりを行っている全国の職人たちがいます。こうした職人たちのおかげで、着物文化が現代にも息づいています。
この職人たちの思いを受け止め、共に染織文化を育て、次の世代へ、そして世界へ発信していくことが私たちの使命でもあります。
SDG’sが世界的に叫ばれる今、着物こそ究極のSDG’sであることもまた、世界に発信すべきことです。無駄の一切ない構造、形を変えなんどでもリサイクルできる万能性もまた、日本の着物の持つ大切な側面です。