次もきれいに! 入卒後の着物のお手入れ

こんにちは！
宇都宮に明治元年から続く呉服店、kimonoしゃなりの渡辺です｡

卒業式から始まり、入学式まで終わりました｡
「久しぶりに着物を着た！」という方もいたのではないでしょうか？
お疲れ様でした｡
お子さんの節目。
着物を着ることで得たものは大きいと思います｡

一通り行事が済んだら、次はそう！

お手入れです

お手入れの

1. 時期
2. 家庭でのケア
3. お手入れを出す場所
4. 放っておくと、どうなるのか？
5. その他の小物

これらを知ることで今後、再びその着物をきれいに着られるか⁉︎
まさに分岐点につながります｡

• お子さんが下にいる
• 結婚式が続く
• もうスーツは着たくない

など
着物を適切にお手入れし、再度活用するコツのご紹介です｡
どうぞ参考になさってください｡

1.時期

「とにかく早め」がお約束｡

着物は基本、正絹（しょうけん）です｡
絹の特性上、汗を吸い、さらに放出性に優れます｡
着物のみならず、長襦袢（ながじゅばん）、帯も絹です｡

自覚はなくとも、汗はかきます｡
その他、外側からの汚れ

• ほこり（校庭の土も厄介｡）　
• 雨（着物の縮みにつながります｡）
• 化粧品（特にファンデーション、整髪スプレー等｡）

洋服にも言えますが、洗濯するのが早いほど汚れ落ちがスムーズです｡
絹も同様｡
汚れの成分が定着する前に！
※汚れの種類は複数あり、その成分もまちまちです｡
「何ヶ月以内！」
とハッキリ言うのは難しいですが、「なる早」でお願いします｡

※明らかな「汚れ」は速やかにkimonoしゃなりへ！
「何の汚れか？」記憶の新しいうちに伝えるのが大切です｡

2.家庭でのケア

！水分を飛ばすべし！
絹は水分を吸収します｡
汗、雨に関係なし｡
まずは水分を飛ばしましょう｡

「着物ハンガー、お持ちですか？」
着物専用で、袖部分が伸縮します｡

洋服のハンガーとは全く別物｡
着物に特化し、帯を干すスペースもあり｡
ひとつあると便利です｡

KIMONOしゃなりのオンラインショップ(楽天市場店)でも購入できます

着物の襟は広げます｡
筋汚れなどをチェックできる他、湿気を逃しシワも伸びます。

「どこに干すの？」
直射日光の当たらない屋内がベスト｡
外干しは、生地が焼けてしまうのでNGです｡
サーキュレーター、エアコン等を活用するとさらに◎｡

「干す時間」
およそ数時間〜一日中程度｡
何日も干したままだと、生地の伸びにつながることも｡
※他の小物、着付道具も一緒に干します｡

3.お手入れを出す場所

呉服店、悉皆（しっかい）屋さん等、専門店に出してください。
※悉皆（しっかい）とは？
着物の染め、洗い張りなど、専門の技術です｡
シミ抜き、カビ取り、着物全般に関して頼れる存在｡

一般のクリーニング店にも「着物コース」はあります｡
しかし生地の撥水加工が取れてしまうなど、弊害もあります｡
クリーニング店がダメなのではなく、生地以外の様々に詳しい
呉服店が間違いありません。

※着物を作った方→その呉服店に
※ネットや、アンティークショップの場合→近所の呉服店に
（自身で行き来できる場所でないと、億劫です｡）

ただ汚れを落とす他

• 撥水加工をかける
• 着物の寸法を見る
• 八掛（はっかけ）を交換する
  （八掛は着物の裏地で、袖口や裾からチラッと見えます｡　時代に合わせた色味に交換すると、雰囲気が一新します｡）

様々な相談が可能｡
洋服とは異なり、工夫をしたり、カタチを変えて永く活かすことができます｡

4.放っておくと、どうなるのか？

こわい話をします。

カビ

脱いで箱にしまって置いた着物｡
クリーニングに出そうといざ、呉服店で開けてみたらカビが生えていた｡
ツンとした刺激臭が広がり、咳が出るほど｡
着たのはたった一回｡
着物の水分量も、多かったのかもしれません｡
箱で密閉したことにより、中はカビ天国｡
これは本当にかわいそう｡
着物にとっても、お客さんにとっても｡

実際のお客さんの例です｡
カビ着物を着ていたら、気管支の炎症が起きてしまい
病院で治療が必要だったそうです｡

※帯は中の帯芯（おびしん）自体を交換する必要があります｡
芯に染みたカビは全除去が難しく、再発の可能性があるからです｡

黄変（おうへん）

月日をまたいでしまった場合｡
黄変（おうへん）が出ます｡
特に長襦袢（ながじゅばん）の白色系に多い｡
大きくぼんやり、淡い黄色味が特徴です｡
外から直接見える部分は少ないにしろ、なんかいやな感じ｡
生地が傷むこと、面積が大きいことで黄変抜きはオススメしません｡
料金もかさみます｡

襟汚れの定着

ファンデーションが圧倒的です｡
その時は何も無いように見えて、後から出てきて困ります｡

お辞儀が多い卒業式、入学式｡
知らず、顔が襟元に触れます｡
最近のファンデーションは機能が多彩｡
それだけに、経年の中で変化した汚れはたちが悪い｡
落ちないどころか、変色し、それが定着してしまう｡
襟元は目立つので、長襦袢（ながじゅばん）のようにはいきません｡

生地の変質が起きると、元通りにするのは難しい｡
生地が傷み、費用もかさみます｡
あらかじめ、適切な処置で予防する方が得策です｡

虫は着物を食わない？

着物というより、絹を好んで食いません。
汚れのタンパク質がある場合、ちょっと齧っちゃうことはあります。

主に着物の敵は

1. 湿気によるカビ
2. 汚れの定着、色素沈着
3. 光による焼け

この３つです｡

5.その他の小物

着物、長襦袢（ながじゅばん）、帯。
お手入れの基本セットです｡

その他の小物、着付道具は基本洗いません｡
お手入れ方としては
「乾かす」以上です｡

洗濯機等で洗えるもの

• 肌着
• 補正のタオル
• 足袋

それ以外の小物

• 帯揚げ
• 帯締め
• 重ね襟

よほどでなければ洗いません。
絹100%のため、気になる場合は呉服店にクリーニングへ｡

着付道具

• 腰紐（こしひも）
• 伊達締め（だてじめ）
• コーリンベルト
• ヒップパッド

これらも洗いません。
使用中、シミができても表からは見えないので問題なし｡
それより、洗濯を繰り返すと道具が傷む可能性があります｡

悔しかった話

先日、春めいてきたからと、、。
薄手カーディガンを引っ張り出して愕然としました｡
カーディガンの上に鎮座！（本当にどっしり座っていた）の
小さい毛虫と目が合いました｡
急いで窓を開け、とりあえず虫は除いたものの遅かった！
虫食い跡がくっきり！
「ああ〜もう！」

オシャレ着洗いでお手入れしておいたのに！
お気に入りだったのに！
悔しいー！！！
なんと、隣の化繊混のセーターは無傷でした｡

良いものは、人にも虫にも需要がある｡

まさに、この春一番の悟りです｡
防虫剤ひとつ、入れとく手間を怠ったばかりに、、！

はぁー。
しかしです｡

お子さんの行事は、フォーマルの場面｡
自分のための装いではありません。
着物はとても喜ばれます｡
同時に着物は目立つ！ということ｡

どうせ着るなら、素敵に着たいのが、人情｡

この記事が、さらに素敵な着姿のお手伝いになりますように！

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