譲り受けた着物、どうしたらいいの?
祖母や母から譲り受けた着物、果たして自分が着れるのか?という問題。
もらったはいいけど、これ “いつ着るの?” “どんな時着るの?”とお困りの方いませんか?
着物がたためないから、結局、箪笥に入れっぱなし。一度もたとう紙から着物を出したことがないという方も少なくありません。
今日はそんな方のお役に立つ事ができたらうれしいなぁ。と思います。
箪笥の中の着物を一緒に覗いてみましょう。
目次
この着物の種類は?
着物にも、やはりTPO=Time(時間)・Place(場所)・Occasion(場面)があります。
フォーマルの席では正装のお仕度で、カジュアルの席では普段着で。
これは、皆さんが行事ごとに併せて、洋服をコーディネートするように、着物も行くところや場面に応じて、コーディネートすれば良いだけ。決して難しいことではありません。
では、いったい手元にあるお着物は、どんな種類の着物なんでしょうか?
手持ちの着物をたとう紙から出して、たたまれている着物を大きく広げてみましょう。
そして、一つずつ確認していきます。
- 柄はありますか?
- どの位置に柄はついていますか?
- 紋はついていますか?
- 汚れやシミなどはないですか?
柄はありますか?
広げて見て、まずは、柄があるのか?確認しましょう。
柄がない場合は、フォーマルからカジュアルまで、幅広く着用ができる【色無地】かもしれません。
ただ、無地でも、紬の可能性もあります。
紬の場合は、カジュアルに普段着として着るものになりますので、フォーマルな席では着ることができません。
どの位置に柄がついていますか?
柄が着物のどの部分に入っているか確認します。
- 裾の方だけに柄がある・・・【留袖】
黒地なら黒留袖・その他の色生地なら色留袖
ご親族の結婚式などに着用します。
- 胸元、裾、袖に柄がある・・・【付下げ・訪問着】
柄がすっきり入っているのが付下げ、裾に絵羽柄で前から後ろにつながるように柄が入っているものが訪問着
お子様の七五三や、入学式、卒業式、結婚式のおよばれなどに着用します。
- 全体的に同じ柄が入っている・・・【小紋】
柄の分量が多くても少なくても同じ柄が上から下まであるものは、小紋です。
観劇やコンサート、お茶や同窓会など普段着として着用できます。
- 柄はないが、同じ柄が細かく生地に入っている・・・【江戸小紋】
遠目でみると、無地の着物に見えるような細かい柄です。江戸小紋は、小紋とは違って、セミフォーマルの席に着ることができます。
お子様の行事ごと、お茶会などに幅広いシーンで着用できます。
紋は入っていますか?
どのような紋がいくつ入っていますか?
染め抜き紋といって、白い紋が入っているものは、正装・礼装用。
留袖や色留袖、喪服などが多いです。
刺繍の紋なら、準礼装。色無地、江戸小紋などが多いです。
家紋ではなく、お花や竜などお洒落な紋の場合は、普段着用です。
紋は数によっても格が代わります。
五つ紋が一番格が高く、その次に三つ紋、そして一つ紋の順番です。
紋なしが一番格下です。
汚れやシミはないですか?
種類がわかったら、着物の状態を確認します。
- 汚れ、シミがある
- 黄色く変色している
- 白いポツポツがたくさんついている
- シワがついている
- ほつれている
- 比翼も下から出ていないか
汚れやシミがある時は、着物専門のクリーニング屋さんに持ち込んで、きれいにしてもらいましょう。
シミは早く落とした方が綺麗になります。
黄変は、直すのが難しいです。
特に表地よりも、裏地の胴裏などが黄変してることが多いです。内側ならば、着る分には差し支えないので、そのままご着用される方が多いですが、気になる場合は、新しい胴裏を使って仕立て替えします。
白いポツポツと出ているのは、カビです。
カビの出方、広がり方で対処の仕方が変わりますが、基本は丸洗いで綺麗になります。あまりにひどいカビの時は、洗い張りといって、一度解き反物に直して、水洗いをします。綺麗になったら、もう一度仕立てるので、時間もお代もかかります。
シワがひどい時は、プレスをします。
このプレスもご自身ではやらないで下さい。
素人が下手にアイロンをかけると、生地を傷めることがあります。
必ず、着物専門のクリーニング屋さんに出してお願いして下さい。
ほつれは、着物の後ろの背中心の縫い目や袖付けなどに、よく見られます。袖付けなど、よくご自分で留められたのかな?という跡を見ますが、こちらも素人がやると生地を破いてしまう可能性もあるので、プロの和裁師さんにお願いして留めていただいた方が良いです。
比翼とは、黒留袖などについているもので、二枚重ねて着ているように見せる白い生地のことです。
比翼は年月が経つと、多少着物何縮むので、少し裾から出てしまうことがあります。ご着用の時は、比翼が裾から出ているのはおかしいので、その際はお直しが必要になります。
上記に書いたクリーニングやお直しは、当店で全て承ることができます。
わからない時は、持って来てくだされば、こちらで確認してアドバイスさせていただきますので、遠慮なくお持ちください。
この着物着れるの?
着物の種類がわかり、状態を確認したら、実際に羽織ってみます。
着て確認するポイント
まず、羽織ったら、着物の裾が床につかないように、持ち上げて、襟合わせを間違えないように重ねて、腰紐をとめます。
その時に、左側の脇線がご自身の左足、真横にくるように気をつけます。
その次に、両脇に空いているところ(身八つ口と言います)から、両手をそれぞれ入れて、前後のおはしょりを下におろします。
次は襟合わせです。重なっている状態を整えるように合わせていきます。
着物を羽織って準備が出来たら、細かくチェックしていきます。
- 手の長さに着物の丈は足りていますか。または、手の甲が隠れるほど長くないですか。
- 身幅はあっていますか。
- おはしょりは十分に出そうですか。
サイズが合わない場合には、着付けで対応出来る時とお直しが必要になる時があります。
お直しも、サイズを小さくすることはできるのですが、長さが足りなくて長くする場合は、生地が内側に余っているかを確認して出来る、出来ないを判断します。
出来たとしても、中に入っている生地と表に出ていた生地とで色が変わってしまっている事もあるので、その際に色をかけるなどの加工も追加で必要になります。
着物以外のものが揃っているか?
着物だけがあっても、着物を着ることができません。
着物に合わせた長襦袢、帯、それから帯締め・帯揚げ、着付け道具と小物が必要になってきます。
長襦袢
長襦袢は、着物の下に着るものです。
長襦袢もフォーマル用とカジュアル用とで生地の色味が違ったり、上と下で二部式になっているものもあります。
この長襦袢もご自身の体系にあったもの、着物の寸法にあったものでないと着ることができません。
そして、長襦袢の襟に半襟がついているかどうかの確認も必要です。
汚れは、内側に着るものなので、それほど気にしなくて大丈夫ですが、やはりきれいな方が気持ちよく着れますよね。
せめて、表から見える部分の半襟が汚れているとき時には、クリーニングに出すか、半襟を取り替えて着るようにしましょう。
長襦袢については以前詳しくかいたブログがありますので、そちらをご覧ください。
帯
帯にも種類があるので、着物と格をそろえてあわせます。
帯についても以前書いたブログがあるのでこちらを参考にして下さい。
- 半幅帯
- 名古屋帯
- 袋帯
帯は大きく分けてこの三種類。
半幅帯と名古屋帯がカジュアル向き、袋帯がフォーマル向きとなりますが、帯にも名古屋帯でもセミフォーマルまで使えるものだったり、袋帯でも洒落袋といって紬や小紋にあわせられる帯があるので、帯の種類で用途をわけるのは難しいです。
では、何で分けるかというと、その帯の柄行です。
細かい和装のルールがわからなくても、なんとなくのイメージはできるかと思います。
訪問着に半幅帯やカジュアルな名古屋帯は合いませんよね。
反対に紬などに、螺鈿や箔などの重たい帯は合いますか?
このように、その着物に合う格の帯をコーディネートしていくのです。
あとは、長さの問題です。
現代、織られている(作られている)帯は、長めのものが多く、若干ふくよかな方でも十分締めることができるのですが、だいぶ昔の帯だと短くて締めることができない場合があります。
なので、一度お腹に巻いてみて、長さの確認もする必要があります。
それから、帯の汚れも確認しましょう。
目に見える汚れはもちろんですが、帯には芯が入っていて、その芯がカビて匂いがすることもあります。鼻につくような嫌な匂いがするときは、一度カビ取りクリーニングが必要です。(芯をそっくり新しいものに交換する場合もあります)
帯締め・帯揚げ
帯締めと帯揚げも、フォーマル向けとカジュアル向けがあるので、気をつけましょう。
意外に着物と帯はばっちり決まっているのに、帯締めと帯揚げがなぜそれをつけているのだろう?という方多いです。
そして、帯締めと帯揚げこそ時代を感じるものが多いです。
お振袖でも、お母さまの振袖をきる“ママ振り”のお嬢様も多いのですが、コーディネートの見直しで帯締めと帯揚げを替えてあげるだけで、一気に今っぽくなったりします。なので、あるものを使う。もいいのですが、帯締めや帯揚げなどは、新しく新調してもいいのかもしれませんね。
確認後
今後も使えそうなもの
汚れや直しなどで一旦出された着物などは、新しいたとう紙に入れて、箪笥にもどします。ただ、着物にカビが出ていた時は、そのまま箪笥に戻すのは危険です。
箪笥自体にカビがある場合、また同じように着物にカビがつき、広がってしまう可能性があるからです。その時は、箪笥も水ぶきして天日干しするなどして、一旦カビをとりきれいにしましょう。
他の広げた着物も、きれいに畳みなおす必要があります。
この時、変な畳み方をすると、着たいときに、シワがつき着用できなくなってしまうので、丁寧に縫い目にそってたたみましょう。
たとう紙に中身がみえる窓がないときは、なにが入っているのか、たとう紙に名前をつけておくのもいいかもしれませんね。
正絹の着物類ならば、樟脳もいりません。
できれば、乾燥剤などを使っていただいて、湿気をできるだけ取り除きカビが出るのを防ぎましょう。
今後使えそうにないもの
あまりに汚れがひどいものは、メンテナンスにかなり費用がかかってしまうこともあります。一度、呉服屋か着物専門のクリーニング屋さんや悉皆屋さんにみていただき、見積りなどをもらって判断するのも良いかもしれません。
あとは、着物から違うものにリメイクするのも良いかもしれません。
着物が帯に代わったり、またはワンピースになったり、傘に作りかえられる方もいます。帯もトートバックやパッチワークでテーブルカバーなどに作りかえても素敵です。
発想を豊かに、その生地の柄を生かして新しいものに生まれ変わらせることができたら最高ですね。
まとめ
譲り受けた着物の確認
- 着物の種類を見分ける
- 着物の状態を確認
- ご自身の寸法に合っている着物か確認
- 付属品が揃っているのか確認
- しまうorリメイク
ご自身だけでは難しい。不安という方はいつでもKIMONOしゃなりにおまかせください。いつでも相談にのりますし、アドバイスさせていただきます。
そして、素敵な着物と出会えた方は、ぜひその着物を着てあげてください。
大切ならばこそ、袖を通してあげましょう。
着るお手伝いもいたします。
着物の良さを少しでも多くの方に知っていただけたらうれしいです。
いつでもご連絡くださいね。
KIMONOしゃなり 寺﨑
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