着物の家紋〈意味と入れ方〉
皆さんは、ご自身の家の【家紋】ご存じでしょうか。
着物にも、家紋が入る「留袖」や「色無地」などがございます。
着物の場合は、紋の数や入れ方によって格が変わります。
格が変わる。と、いう事は、着ていけるシーンも変わってくるんです。
【家紋】の知識があると、着物の見方も変わると思います。
今回は着物の家紋について書いてみます。ぜひ、参考にして下さい。
まず、お着物の種類がわからない方は、こちらのブログをどうぞ。
家紋とは
家紋とは、家の紋章のことで、家系や家柄、地位などを表す為に用いられたその家のシンボルマークのようなものです。
平安時代に公家や貴族が牛車に好みの文様を付け印にしたことが「家紋」の始まりだとされています。自分の名前の代わりにつかっていたのですね。
男紋と女紋
まず、家紋には男紋と女紋と二種類あります。
◯男紋・・・直径が約3.8センチ
◯女紋・・・直径が約2センチ
この男紋、女紋に関しては、調べてみると、
丸がつくものが男紋で、ついていないものが女紋とされているようなのですが、実際のところ女紋でも丸がつく紋もありますし、男紋も丸がついていないことなどもあるので、それで区別するのは違うように思えます。
お着物につける家紋は、着物の種類、紋の入れ方によって、丸をつけたり、つけなかったりもするんです。
例えば、男性の黒紋付などは、男らしさを表すよう丸をつけて、堂々と大きく見えるよう紋を入れるのですが、逆に女性が着用される色無地などに背紋を一つ入れる場合、色々な場面に幅広く着ることが出来るよう、目立たないように刺繍で、糸も着物と同じような色の共色で紋を入れるのですが、女紋で丸をつけると小さく見えるので、丸を外すこともあるんです。
また、女紋は、女系で代々引き継がれていくものを指す場合もあります。
着物に入れる家紋の数と意味
着物には最高で五つの紋が入ります。
着物のどこに入っているか分かりますか?=紋の意味
①背中に一つ。これを「背紋」といいます。=ご先祖様
②両後ろ袖に一つずつ。これを「袖紋」といいます。=兄弟・姉妹・親戚
③両胸に一つずつ。これを「抱き紋」といいます。=ご両親
紋の数が多くなるほど高くなります。
① 一つ紋 < ①と② 三つ紋 < ①と②と③ 五つ紋
五つ入っている代表的な着物は、【留袖】【喪服】などです。
三つですと、【色留袖】【色無地】
一つには、【色留袖】【色無地】【江戸小紋】【訪問着】などです。
家紋の意味を知るとなぜ留袖や喪服(黒紋付)などには五つ紋が入るのか分かります。ご先祖様や家族、親戚と皆さんに守られているという事。だから、厄除けやお守りとして、結婚の際や二十歳のお祝いでお誂えされるかたが多いのです。
それと、紋が入っているお着物は、その紋が見えるように着付けすることも大事です。特に、五つ紋が入る留袖や喪服などは、抱き紋、胸の紋が隠れてしまうことがないように、帯をしめます。
そういったことは、着付け教室などでもお教えしていますので、ぜひ気になった方は着付け教室にご参加くださいね。
以前書いたブログなども参考にどうぞ。
紋の入れ方の種類
着物に入れる紋にも、いくつか種類があるんです。
【染め抜き紋】・・・紋の形を白く染め抜く方法で、最も格式の高い家紋の入れ方です。正礼装の着物のは、抜き紋で入れるのが一般的です。
留袖・色留袖・喪服・黒紋付など
【縫い紋】・・・糸で家紋を縫う方法です。抜き紋に比べると格が下がるため、一般的に略礼装で用いられます。
糸の色によっても多少格が変わります。金糸や銀糸(フォーマルな席にも着れる)>多色使い(共色/カジュアルよりに着物と同じ色の糸で敢えて目立たないように入れ幅広いシーンで着れるように入れる)
色無地・江戸小紋など
【貼り紋】・・・シール状の家紋を貼り付ける方法です。よくレンタルの着物などの家紋を替える時に用いられます。
留袖・黒紋付など
家紋を調べてみよう
どうやって調べるの?
お店でも実際にお着物を誂えて頂いた際に【家紋】を尋ねると、
“わからない”という方、実は多いんです。
どうしよう?・・・そう思いますよね。
皆さん、一度はどこかで見ているはずですよーーー!
はい。そういう方には、家のお墓などの石碑に入っている家紋やお仏壇に入っている家紋を確認して頂いております。
あぁ~あれか!!と思った方、そうです。あれが、あなたの家の家紋です。
お店には、その撮った写真をみせて頂ければ大丈夫です。こちらで、紋帳をみて家紋の名前を調べます。
家紋どちらを入れるの?
この・・・“どちら”をというのは、
結婚している場合、【実家の家紋】と【嫁ぎ先の家紋】・・・この“どちら”を入れるのか?という事を意味します。
ちなみに、わたしは、実家の家紋が“釘抜き”で嫁ぎ先が“丸に笹竜胆”です。
実は、家紋はどちらの紋が入っていても良いのです。
特に、この家紋に関しては、土地柄や家柄にもよるかとおもいます。
私共の地域では、そんなに家紋に関して、しきたりがないので、お好きなほうの家紋を入れていただいて構いません。
ただ、どのタイミングでだれが誂え、だれが着るのか?
によって、どちらの家紋を入れたほうが望ましい。という事はあります。
例えば、お嬢さまの二十歳のお祝いに厄除けを兼ねて、ご両親からのプレゼントで喪服を誂えるとします。
この場合は、お嬢さまを守る意味もありますし、着用されるご本人さまも独身なので、当然“ご実家の紋”になります。
ただ、誂えるタイミングが結婚後の場合、ご本人が誂えるのであれば、家紋を選択できるのですが、ご主人様が名義で誂えられる場合は、嫁ぎ先の家紋をいれるのが良いかとおもわれます。
このように、その時々でどちらの家紋の方がよいのか変わってきますので、迷ったらぜひご相談下さい。
ちなみに、冠婚葬祭などのレンタル衣装には、大体“五三桐”という家紋が入っています。
この紋は【通紋】といって誰でも使ってよい紋とされています。その他にも、蔦や蝶などの紋もありますが、こういったレンタル衣装にご自身の家紋を入れて着たい場合、先程の貼り紋で上から貼り付け対応するんです。
家紋を調べる時の注意
皆さん、写真の右上、こちらが【五三桐】(ごさんのきり)です。
紋典…紋がのっている本ですが、こちらで“桐”で調べて見ると、見開き2ページだけでも、こんなにあるんですよ。ちなみに桐だけで7ぺ―ジあります。
このように、紋は似たような紋が沢山あって、微妙な違いで名前が変わってきます。
私は、いつも間違い探しをしているかのように紋典をじっと眺めて探しますが、紋の数は約2万5000以上あるといわれていて、種類の多さに驚きます。
ですので、ご自身の紋を調べる時も、十分に気をつけて細かい部分も確認して下さい。
あと、これだけの紋があると、もちろん紋典にのっていない紋なども時々ございます。
その場合は、紋屋さんに新しく型紙をおこしてもらいます。その時は、紋代に型紙代が追加されることもあるのでご了承下さい。
でも、そんな見たこともない紋を見た時は、私もテンションが上がります。本当にオリジナルの特別な紋って素敵ですよね。羨ましいです。
まとめ
いかがでしょうか。家紋について少しでもお判りいただけたでしょうか。
家紋は・・・
- 男紋と女紋がある。大きさが違う。
- 紋の数によって格が変わる事。五つ紋が一番格が高い。
- 入れ方にも種類がある。染め抜き紋、縫い紋、貼り紋。
- 家紋は選べる。実家の紋、嫁ぎ先の紋。
ぜひ、ご自身の家紋も調べてみて下さいね。どんな家紋でしょうね。
KIMONOしゃなり 寺﨑
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