長襦袢・仕立てと市販で何が違う⁈
こんにちは!
宇都宮に明治元年から続く呉服店、kimonoしゃなりの渡辺です。
今回は
【長襦袢(ながじゅばん)】
【仕立てと市販の違いについて】
その前に、、。
※そもそも長襦袢(ながじゅばん)とは?
着物の下に着る「もう一枚の着物」です。
長襦袢を着ることにより、着物が素肌に触れません。
それにより、汚れや汗から生地を守ります。
また半襟を替えることで、雰囲気を変えオシャレも楽しめます。
(写真 長襦袢 お願いします、※矢印で半襟部指、してください)
「着物だけあって長襦袢が無い」
「長襦袢がシミだらけで新調したい」
お客さんからもこんな声をよく聞きます。
今回は
〈長襦袢を単品で選びたい方へ!〉
〈1 仕立て・市販、それぞれの違い〉
〈2 着物別・オススメの長襦袢〉
〈3 使える長襦袢とは?〉
では早速まいりましょう!
〈1 仕立て・市販、それぞれの違い〉
〈仕立ての特徴〉
・寸法(すんぽう)
着る人や着物に合わせ、仕立てます。
呉服店で長襦袢を選ぶ時、大体がこれ。
実際にメジャーや物差し(ものさし)で寸法を確認。
身幅(みはば)、裄(ゆき)、身丈(みたけ)を細かく出します。
手持ち着物の場合は、持参してその寸法をはかります。
着物よりもやや小さい寸法で、長襦袢は仕立てます。
体型に合うのでとにかく着やすい。
そして着崩れにくい。
自分に合わせ縫っているので、快適でないわけがない!
・値段
長襦袢の素材は正絹(しょうけん)が基本です。
生地代➕仕立て料があるので、値段は高め。
数万円するのが一般的です。
・お手入れ
専門店でクリーニングに出します。
絹なので自宅だと、縮みの原因に。
一度縮んでしまった生地は元に戻りません。
また余程でなければ、毎回お手入れには出しません。
シーズンオフにまとめて、という感じです。
よくファンデーションで半襟(はんえり)が汚れます。
こんな時は部分だけ、汚れ落とし。
歯ブラシや、ベンジンで簡単に出来ます。
・着心地
正絹(しょうけん)の着物✖️長襦袢。
温かく、静電気も起きにくい。
・絹の吸湿性
汗をかいてもこもらないので、快適です。
着物を着ると帯下に汗をかきます。
冬でもこれは変わりません。
正絹(しょうけん)と化学繊維。
それぞれの長襦袢を着比べると分かります。
〈市販の特徴〉
・寸法(すんぽう)
規制サイズが基本です。
よく見るのは、S 、M、Lサイズの一般的なもの。
身長別で、大まかな寸法が決まります。
既に寸法が決まったいるので、
「着丈(きたけ)が長くて、着物の裾(すそ)から長襦袢が出てしまう」
「胸があるので身幅(みはば)が足りない!」
など、体型によって問題が出ます。
また、手持ちの着物が仕立ての場合。
規制の寸法との誤差が出ます。
特に袖(そで)まわり!
・着物の袖口から長襦袢が出る
↓
長襦袢が着物より大きい
・着物の振り(ふり)から長襦袢が出る
↓
長襦袢が着物より小さい
いずれの場合も、着物と長襦袢の寸法が合わないのが原因。
ささいな事ですが、これが結構気になります。
特に、着物と長襦袢が対象的な色味など、
雰囲気が違う場合。
「下着感」とは言わなくとも、気になるもの。
その場合、安全ピンを使用を使用して寸法を合わせるなど、
改善策もあります。
・値段
化学繊維の多い市販品。
お値段はリーズナブル。
数千円から一万円前後で購入可能です。
・お手入れ
化学繊維の長襦袢は、洗濯機OK。
特別気を使うこともなく、普通にお手入れできますよ。
・着心地
はっきり言うと、暑いです。
通気性はないので、気温によってかなり汗をかきます。
また、冬場は静電気が気になります。
着物の下で、長襦袢が足に張り付く気持ち悪さ。
歩きにくく、何度直してもダメ。
ストレスになります。
〈2 着物別・オススメの長襦袢〉
・フォーマル着物
訪問着はじめ、黒留袖〜喪服まで
フォーマルで求められるのはズバリ、きちんと感。
TPOに合う、正統派の長襦袢がオススメです。
それは正絹(しょうけん)の白。
特におめでたい席では、半襟も正絹(しょうけん)が◎。
記念撮影やビデオに残るからです。
正絹(しょうけん)の半襟(はんえり)は、
自然な光沢があります。
逆にポリエステルは、光の反射が強すぎることが。
人生節目の大一番は、本格派でどうぞ!
長襦袢の選び方。
着る着物と一緒に、しゃなりへお持ちください。
しゃなりの特徴は、専属和裁師常駐の老舗。
まずは、着物自体の寸法が合っているかを確認。
その後、着物の寸法を改めてとります。
その他、合わせる帯や小物。
草履バックに至るまで、細かくチェック。
相談しながら、最高の一枚を仕立てることができます。
・結婚式で黒留袖を着る
・叙勲(じょくん)のドレスコードが分からない
等、着物やしきたりについてのご相談も承ります。
・カジュアル着物
小紋(こもん)、紬(つむぎ)、木綿やポリエステル。
もちろん正絹(しょうけん)が良いのは分かるけど!
気軽に試せる市販品は、頼もしい存在。
また「見せ襦袢」なる、かわいい色柄もあり。
遊びや着付け教室は汗をかきます。
それを家庭で洗濯出来る爽快さ!
市販品ならではの良さです。
〈3 使える長襦袢とは?〉
用途、着物を着る頻度によります。
でも実体験を交え、言うなれば
仕立てと市販品を一枚ずつ!
これが一番使えます。
私自身の体験です。
最初の一枚は、ネットで選んだ市販品でした。
着付けの練習用、着物も一枚だけ。
そんな状態で、正絹(しょうけん)を仕立てる余裕は
ありませんでした。
着付けが出来るようになり、
少しずつ長襦袢も増えていきました。
自然と仕立てと市販品の比較もできます。
どちらの長所、短所も分かります。
そこでたどり着いたのは、麻素材の長襦袢です。
麻だから、汗がこもらず快適。
色は白ベージュだから、着物の色柄を選ばない。
本来はカジュアル用だけど、
ぱっと見分かりにくいので
こればかり着ています。
勿論しれっと、訪問着にも合わせます。
最初は市販品からスタートし、
今は仕立て品に落ち着いている。
失敗もしましたよ。
かわいい柄を見つけ、何も考えずポチったあの日。
市販品がいざ届いてみたら、
雨ガッパ(!)みたいな生地でとんでもないことに。
蒸れてすべって、着られたものではなかった。
今では笑い話です。
試行錯誤を繰り返したどり着く自分だけのスタイル。
各々に異なる発見があるはずです。
また、そこまでの道筋も楽しい。
皆さんにとって素敵な長襦袢が見つかりますように!