~具象文様~
【桜】
振袖の柄としては人気がある文様のひとつです。桜の季節に限らず、年間を通して身につけられるようになってきています。平安時代頃からの人気文様で、小桜、枝垂桜などにアレンジされて親しまれています。
【菊】
美しさと高貴な香りから、邪気を払う縁起物として尊ばれてきました。日本に伝わった奈良時代から、宮中行事で欠かせない花となっています。皇室の紋章となったのは、鳥羽上皇が初めて菊の装束を着たためと言われています。
【椿】
古来から、悪霊を払う力があると考えられ、春を告げる聖なる木として好まれてきました。着物の文様としては、吉祥の意味もこめられています。
【牡丹】
百花の王とされ、幸福、富貴、高貴、豪華さをあらわします。特に、牡丹と唐草を組み合わせた牡丹唐草文様は室町時代から近世まで、唐草を代表する文様として人気でした。
【楓もみじ】
楓が紅葉するともみじになります。また、蛙の手に似ていることから「蛙手」と呼ばれ、蛙は「還る」に通じます。60年生きて再び生まれた年の干支に還ることを還暦というように、楓は長寿をあらわします。また。季節によって色を変え人を喜ばせてくれるため、世渡りがうまく幸福になれるともいわれます。
~抽象文様~
【立湧】
水蒸気が湧いて昇っていく様子を文様としたとされています。天に自分の気持ちが昇ることをあらわします。ふくらんだ部分に、菊や雲などの文様を詰めた文様もあり、花立湧、雲立湧などと呼びます。奈良時代から用いられてきました。
【亀甲】
正六角形の亀の甲に似ていることから亀甲と呼ばれています。もともと、西アジアで起こり、中国や日本に伝わったとされています。平安時代に定着したおめでたい文様の代表格。組み合わせやすいため、さまざまな変形の文様があります。
【雪輪】
雪の結晶の六角形を円形に描いた文様です。桃山時代の能装束によく見られ、雪輪の中に花模様を詰めることもあります。吉祥文様として振袖のほか、留袖、小紋、帯など幅広く使われます。
【麻の葉】
六角形を基礎にし、麻の葉に似ているところに由来します。平安時代、仏像の切金文様の中や、鎌倉・室町時代に刺繍によって仏像や菩薩をあらわしたものの中にも見られました。
【菱】
植物の「ヒシ」から名づけられました。奈良時代から用いられていたことは正倉院の宝物の中からもうかがえます。平安時代には有職文様として平安貴族の中で流行していたとされ、絵巻物にその文様が描かれています。
【七宝】
円形は円満をあらわす、吉祥文様のひとつ。七宝とは仏教でいう七つの宝をさし、類をみない美しい文様という意味で七宝文様と名づけられました。同じ大きさの円の円周を4分の1ずつ重ねて繋いだ文様で、円の中に花を入れて用いることもあります。